木靴の樹
(原題:L'ALBERO DEGRI ZOCCOLI)
オススメ度:★★★★★

1978年 イタリア 179分
監督・脚本・撮影・編集:エルマンノ・オルミ、美術:エンリコ・トヴァリエリ、衣装:フランチェスカ・ズッケリ、音楽:ヨハン・セバスチャン・バッハ(オルガン演奏:フェルナンド・ジェルマーニ)

出演:ルイジ・オルナーギ/フランチェスカ・モリッジ/オマール・ブルニョッリ/アントニオ・フェラーリ/ジュゼッペ・ブリニョッリ/カルメロ・シルヴァ/マリオ・ブルニョッリ/エミリオ・ペドローニ/テレーザ・ブレッシャニーニ/カルロ・ロータ/ルチア・ペツォーリ
 

 19世紀末、北イタリアの農村。バティスティ一家は他の数家族と一緒に小作人として働いていた。子供の誕生、結婚、親子喧嘩、牛の看病にトマトの栽培・・・そこには貧しい生活の中にも小さな喜びと悲しみがあった。ある日、バティスティは息子のミネクの表情が暗いことに気づく。ミネクは一足しかない木靴を学校の石段で割ってしまったのだった。バティスティは息子のために河の畔に並ぶポプラの木を伐り、木靴を作った。だがそのポプラは地主の所有物であり、これが原因でバティスティ一家は農場を追われる。過酷な世界が彼らを待ち受けているのであった・・・


 過剰演出がとてもイヤらしいハリウッドの連中に見習ってもらいたい珠玉の名作です。
感情移入を抑え、静かに淡々とした描写が観る者の胸を打ちます。手法はイタリアン・ネオ=リアリスモのそれ。『自転車泥棒』や『無防備都市』『靴みがき』等と同じく、厳しい民衆の現実をリアルに描き出しています。
 撮影はオールロケ、しかも照明は一切使用せず、自然光とろうそくの光だけで撮影された映像はとても美しく、まるで絵画を見てるよう。また出演者は全て本物の農民の人たちで、その自然な演技はドキュメンタリーを見ているようで、胸を締め付けられます。
 小川で下着を洗う場面、工場で糸を紡ぐ日常、若い男女が修道院から赤ん坊を貰って帰る新婚旅行、また、瀕死の牛が必死の看病の末、奇跡的に回復するエピソード、全てが感動的。ミネク役のオマール・ブリニョッリがとても可愛らしかった。